私の遠回り~会えなかった時間~
思わず出た私の言葉に、木本さんはきょとんとしている。

「時々こうなんだよね。いつになったら知紗の頭の中まで理解出来るようになるんだろう。」

真面目な顔で木本さんは私から視線を外す。

「日本で山瀬彬と会うんだろう?」

「当然よ、彬さんの叔母さんのお悔やみに行くのよ。」

私は核心を突かれたような気がした。

多分木本さんは分かっていながら、私に直接聞きたくて仕方なかった質問なんだろう。

「もう大丈夫なのか?」

私の頭の中を理解出来ない木本さんにも、今もまだ彬の事でもがいている私には当然気が付いているわけで…。

「その事は未だに知紗の口から話してくれないよな。」

少し寂しそうな顔をする木本さん。

「木本さん、その表情、女心がときめきます。いつもそんな顔をしていたら、しょっちゅう女性に声を掛けられますよ。」

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