私の遠回り~会えなかった時間~
もう彬のこの一言で決まりだった。

「木本さん、もういいの。この辺でお暇しましょう。」

3人が立ち上がって動き出した。

「ごめん、外で待っていてくれる?もう少しだけ加代さんと話してから行くから。」

もう二度とここに来ることはないだろう。

心残りの無いように、加代さんに甘えていこう。

一人になると、私は声を出して、加代さんに話しかけた。

「加代さん、ごめんね。もうダメみたい。あんなに心を閉ざした彬を見たくなかった。でも私のせいなんだよね。」

手を合わせながら、私は加代さんに、そして彬に謝る事しか出来ない。

「彬には幸せになってほしい、加代さん、ちゃんと見守っていてあげてね。私はどんな報いでも受けるから。」

「本当にそう思っているの?」

後ろから山本さんの声がした。

「やっと彬さん、落ち着いて来ていたのよ。そんな時に叔母さんを亡くして、そばに居て気が狂ってしまうんじゃないかってほど落ち込んでいたのよ。それなのにこんな時に来るなんて。」

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