私の遠回り~会えなかった時間~
山本さんの真剣な表情に私は目が離せない。

「あなたの存在が彬さんを不幸にするのよ。お願い、私が彬さんに寄り添うから…、どんなに私の方を向いてくれなくたって良いの。だからもうここには来ないで。」

「山本さん…。」

私は山本さんの迫力に何も言えない。

「それは…、違う。」

私と山本さんは同時に振り返った。

慌てて戻って来たかのような彬の様子。

「山本さん、それは違う。」

「彬さん…。」

山本さんはうなだれる。

「山本さん、やっぱり叔母さんの前で二人に話をさせてあげよう。」

優しく木本さんは山本さんに話しかける。

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