私の遠回り~会えなかった時間~
「もう会う事は叶わないと思っていたから…。でも毎日寝る前に彬にその1日の事を報告するのが癖になっていたの。何度もやめようと思ったんだけど…。」

彬の唇に触れるのはいつ以来なんだろう。

それがどうしてこんなに心が満たされるんだろう。

あの時とは違うお互いが求め合うキス。

やはり時間の経過を感じてしまう。

もう彬と離れたくない、でも…。

私達は身体を離すと、彬がポツリと言った。

「いつまでも待っている。俺に出来る事はそれぐらいだからな。」

加代さんが二人で話し合えと言った意味がやっと分かった。

きっと加代さんは私たちの心の行き違いに気が付いていたに違いない。

「加代さんって凄いね。」

彬も同じことを考えていたようだ。

「俺は小さな頃から、叔母さんには頭が上がらない。」

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