私の遠回り～会えなかった時間～
いつの間にか眠り込んでしまった私は夢の中で彬と加代さんと話をしていた。

「加代さん、ありがとう。」

二人で並んでお礼を言うと、加代さんは私達に生前と変わらない笑顔でうなずいた。

「私が面倒を見られるのは今回が最後だからね。私は彬がずっと知紗ちゃんの事を思って、そして仕事まで決めてしまった姿を見ているんだからね。こんな些細な行き違いで二人が永遠に離れ離れになってしまったら悲しいわ。」

「大丈夫だよ、叔母さん。もう絶対知紗の事は離さないから。」

「そうね。」

加代さんはそういうと消えて行った。

これが本当の加代さんとのお別れだったような気がする。

私と彬は二人で加代さんを見送った。

「知紗、そろそろ着くぞ。」

彬とは違う男の人の声。

ぐっすり眠り込んでしまった私に、木本さんが笑いかける。

「知紗、良い表情しているな。」

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