私の遠回り~会えなかった時間~
「30歳を迎えた娘を今更心配しないわよ。それより早く孫を抱かせてよ。」

お母さんはちょっぴり毒を吐くと帰って行った。

「叔母さんといい、知紗のお母さんといい、俺には頭が上がらない人が多すぎる。」

腕組みをして、彬が唸った。

「もうじき知紗にもそうなってしまうのか?」

私は笑いが収まらなかった。

「…知紗、笑いすぎ。」

私は彬に口を塞がれた。

「もう一度、お帰り。」

今度は私から彬の唇を求めた。

「ただいま、もう離れないからね。」

「知紗から求められるなんて、びっくりだ。」

「彬と離れていた時間に私もいろいろと経験して、大人になったかな。」

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