私の遠回り~会えなかった時間~
「ん?」

鏡の中で私を満足そうに見つめながら、彬さんは反応する。

「私、こんなに髪を短く切った事がなくて…、おかしくないですか?」

私は焦って思ったままを口に出した。

それを聞いた彬さんはあからさまにムッとする。

「知紗、それは本気で言っているのか?」

私は肩がびくっとする。

「知紗に一番似合う髪型にしたつもりだ。俺の腕を疑っているのか?」

鏡の中で彬さんは私を見つめる。

そしてまだ私の首に巻かれたままのケープを外した。

「…そういう訳じゃなくて…。」

私は必死に言葉を探す。

「知紗…。」

私は椅子に座ったまま後ろから彬さんに抱きしめられた。

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