私の遠回り~会えなかった時間~
それが今の私の気持ちに当たり前の事だと感じたから。

すると今まで余裕だった彬さんの表情が一変した。

「彬さん?」

「なんだ?」

「彬さんの顔、赤いですよ?」

彬さんは私から視線を逸らし、一度天井に顔を向けた。

もしかして…。

「…実はものすごく嬉しい。でも知紗より6歳年上だという見栄で恥ずかしい姿を見せられないと自制している。」

私は思わず微笑みながら、彬さんの両腕を掴んだ。

「ありのままの彬さんの姿を見せて下さい。」

彬さんの驚いたその顔に食いつくように私は顔を乗り出す。

「…そうじゃないと付き合いませんよ?」

彬さんはハッとした顔をした後、私の顔をじっと見た。

そして力強くガッツポーズをしたかと思うと、私の脇に手を当てて私の身体を抱き上げた。
< 41 / 244 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop