私の遠回り～会えなかった時間～

「彬さん！」

私は思わず大きな声を出してしまったが、彬さんは動じなかった。

「ははは、やったぞ、この日を待っていたんだ。」

満面の笑みで子供みたいに笑う彬さん。

その勢いでくるくる回る。

背の高い彬さんに抱き上げられているから、こんなにドキドキするのかな。

ううん、きっとそれだけじゃない。

「彬さん、そろそろおろして下さい。」

私の声に我に返った彬さん。

「済まない。大人気ないな。」

私の身体をおろすと、目を伏せる彬さんの様子を見て、私はまた笑ってしまった。

「クールな彬さんよりその方が良いです。」

私は自分の言葉にハッとする。