私の遠回り~会えなかった時間~
私は正直に口を開く。

「ふ~ん、そいつは男?」

気のないような素振りを見せながら、ぶっきらぼうに聞く彬さんはやっぱり少し怖い。

「えっ…、あっ、はい。」

私はただ圧倒されているだけ。

「知紗はさ、分かっている?自分の彼女が遅くなるって電話を掛けて来ただけでも不安になっているのに…。」

へぇ~、彼女だって。

私は顔がポッと赤くなるのを感じた。

でも…。

「不安って?」

「そう、知紗がなんだかんだと理由をつけて、結局来ないんじゃないかって思ったり…。」

「彬さん?」

「まして遅れた理由が別の男に呼び止められていたって聞いて、落ちついていられると思う?」

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