私の遠回り～会えなかった時間～
もしかして彬さんって…。

「私の事そんなに信用できませんか？」

思わず私の頬が膨らむ。

「知紗、お前は何か勘違いしている。そういう問題じゃない。」

そして彬さんは私と目線を合わせる。

「ちゃんと付き合う事になっても、まだするりと知紗が俺の腕をすり抜けていってしまうんじゃないかと思ってしまう。俺の片思いが長すぎるから…。」

「ふふふ、彬さんって見た目より可愛いんですね。」

私は目の前に居るはにかんだ立派な大人の男性の手を取った。

「ちゃんとここに来たじゃないですか。私だって彬さんに好意が少しもなければここに来たりしないし、第一付き合う事だってOKしませんよ。」

そう、こうはっきり言えるのが木本さんとの違い。

「大丈夫ですよ。ちゃんとあちらにはお断りしますから。」

私は笑顔で彬さんを見た。

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