私の遠回り~会えなかった時間~
それに弾かれるように、彬さんは笑い出した。
「彬さん、そんなに笑わないで下さい。すごく恥ずかしいんですから。」
私はムキになって声を出す。
仕方ないじゃない、いつもならうちでとっくに夕食の時間。
だから彬さんの夕食を楽しみにして来たのに、こんな事になるとは思ってなかった。
彬さんの笑い声は止まりそうもない。
「もういいです。」
私は彬さんをすり抜けようと立ち上がろうとした。
でも彬さんの手は私に肩にずっしりと乗っていて…。
「俺の前では飾らないそのままの知紗が見たい。」
彬さんは私の額にキスを落とした。
「すまない。今からすぐに準備する。」
スッと離れて行く彬さん。