私の遠回り~会えなかった時間~
社長や挨拶や開発チームの説明が最初になされ、その後に実演がある予定だ。
最後に立食のパーティになるらしい。
「山本さん、実演を見に行っても良いですか?」
私の言葉に山本さんがうなずく。
「いい勉強になると思うから見てらっしゃい。全部が終わったらすぐにここに戻ってきてくれたらいいわ。それまでは私が居るから。」
私は山本さんにお礼を言って、受付を離れようとした。
するとそこに木本さんが走って来た。
「あっ、こんな所に居た。山本さん、ちょっと…。」
木本さんは慌てているようで、私に会釈をすると山本さんを少し離れた所に連れ出した。
「ええっ~?」
少し大きな声を出した山本さんはオロオロし始めた。
私はなんとなく受付を離れる事が出来なくて、残った記念品とパンフレットの整理をし始めた。