私の遠回り~会えなかった時間~
「大沢さん。」

山本さんと木本さんが血相を変えて、こちらにやって来た。

「モデルの子がタクシーで来る途中で事故に巻き込まれたみたいなの。そのまま病院に行ってもらう事になってしまって…。」

私は大変な事になったと、二人の顔を交互に見た。

「どうなっちゃうんですか?時間が迫っていますよね。」

私は時計をチラリと見て、思わず聞いた。

「大沢さん、急で悪いんだけどあなたの顔を貸してくれる?」

山本さんは明らかに焦っている。

「えっ?」

私はとっさに何を言われているか分からなかった。

「とにかくこっちに来て。モデルの代わりをしてちょうだい。木本君、受付を頼むわ。」

私は有無を言わせない山本さんの力強い手に引っ張られていった。

目を白黒しながら、私が押し込まれたのは控室のようだ。

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