【短】恋愛ロマンチスト

と、そこに現れたのは、莉夏と同じテニス部の…女子。


「天哉くん!」

「…え?な、なに?」


突然、名前を呼ばれて驚く。
その子は、なんだか真っ赤になって、俺の方に寄って来る。

俺も、つられて机から立ち上がった。

あ、ちょっと、この展開は…。


「バレンタインの時は勇気が出せなくて言えなかったんだけど…好き、です!」


やばい。
と、思って俺が抵抗をする前に、その子は俺に爆弾を投下してきた。


「ごめん。俺には、莉夏がいるから。俺が好きなの莉夏しかいないから…」

「…ううん。いいの。フラれるの覚悟してたし」


間髪入れずに断った俺に、てへへと笑ってそう言ったその子は、最後に「聞くだけでも聞いてくれてありがとう」と言って、教室を出て行った。


俺は、その後ろ姿が見えなくなるのを確認してから、椅子に座りこんだ。


そして、溜息と一緒にぽそりと呟く。


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