【短】恋愛ロマンチスト
「あーぁ…俺も、あんな風に素直になれたらなぁ…」
「何言ってんの?天哉はそのまんまがいいに決まってるじゃん」
「…そうかなかぁ……って、り、莉夏?!」
「何よ…そんなに驚かなくてもいいじゃない…」
くてっと机に頬を寄せていた俺の頭上から、いつからいたのは、他の誰でもない莉夏で。
その顔は、何故か笑顔で溢れていた。
「…なんでそんな嬉しそうなの?」
彼女の笑顔の意味が分からなくて、俺はいぶかしむ。
その怪訝そうな顔が、面白かったのか、彼女はもっと笑顔になる。
あぁ…好き、だなぁ。
そうだ、最初に声を掛けられた時、あれは忘れもしない、2学期の最初の席替えの時。
「よろしくね?」
そう言って、にっこり微笑まれた瞬間に、俺は彼女に恋をしたんだっけ。
咲き誇る花みたいな、笑顔は誰よりも輝いていて…一瞬にして、心ごと全部持っていかれたんだ。
でも、彼女は本当に人気者で、俺にとっては高嶺の花で…殆ど諦めてた。
だから、冬休みになる前に彼女から告白された時は驚いたし、彼女の不安そうな表情にもっともっと驚いて…「俺でよければ」なんてちょっと情けない返事をして。