溺愛スパダリフラストレーション
なにも変わらないはじまり


元々低血圧だから朝は苦手だ。
そのうえ、夜型人間だから朝は嫌いだ。


それでも、1限目が必修授業であるが故に仕方なく起きて、惰性で辿り着いた大学のキャンパス。


初夏の風が吹いた気がして、雲一つない青空を見上げた。
まだ真夏の太陽の強さではないけれど、それでも

「...焦げる」


日向ぼっこは好きだけどそれは柔らかい日差しの下でのもので、ギラギラした日差しはどうにも好きになれない。



そんなことを考えながら、ざわめいている学生たちの間を抜けて、一刻も早く教室にたどり着こうと建物に入る。

どこかいつも以上にテンションの高い友人たちと挨拶を交わしながら窓側の真ん中あたりの席に座るとすぐに、友人が口を開いた。

「ちょっと、聞いた聞いた?」

「なに?」

「プリンスのご帰還だって」

「きゃーほんと?2週間ぶりじゃない」

“プリンス”それは、この大学に通う人ならみんなが知っているのではないかと思うような有名人。

その言葉に、小さく息を吸って、はきだした。



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