ねぇ先輩、名前をよんで。
ドキドキしながら
ふたりでせーのと声をあげてから紙をひっくり返す。
「あ……」
「やった」
結果は先輩が98点、私が91点だった。
負けてしまった……。
自分の予定では勝つつもりだったのに、
やっぱり先輩は強いや……。
これでまた、言う機会がなくなってしまった。
「ゆうちゃんに何をお願いしようかな〜?」
それでもいいか。
先輩が少し、明るくなってくれたから。
「なんでもいいですよ」
先輩はもう一度空を見つめると、
考える素振りを見せて小さく呟いた。
「水族館……行きたいな」
「えっ!そんなんでいいんですか!?」
意外だった。
先輩がそんなこと言ってくるなんて。
「うん」
「もっと雑用とか頼まれるかと思ったのに……」