ねぇ先輩、名前をよんで。
私が必死で先輩の後をついて行こうとしたら、
先輩は小さく笑って言った。
「はぐれないように手、繋ごうか」
「はい……」
差し出された先輩の手を控えめに握る。
暖かい。
ドキン、ドキンと心臓がリズムを刻む。
私のドキドキが手から伝わってしまいそうだった。
幸せなこの時間がいつまでも続けばいいのに……。
「ゆうちゃん、見て小さいクラゲだ」
「わ……っ」
真っ暗な水槽の中に光が当たられて
光っている小さなクラゲがいる。
「キレイですね……」
「うん。そうだね……」
先輩はクラゲを見つめながら寂しそうな顔をした。
「優がね……好きだったんだ。
クラゲがずっと見てられるって言ってた」
「そう、だったんですね」