ねぇ先輩、名前をよんで。


それから送っていくという先輩の言葉も断って

私は頭を下げた。


「せっかく誘ってくれたのに、

すいませんでした」

「ううん。

俺はもう十分楽しんだから大丈夫。

付き合ってくれてありがとね」


申し訳なさそうな顔をする先輩を見て

心が痛んだ。


もう少し、

私の心が強かったら平気でいられたかな。


ちゃんと割り切ることが出来ていれば良かったのに、


やっぱり私は弱かった。


先輩には頭を下げて、その場から離れた。


水族館を出てひとり歩いてやって来た場所は

人が全然いない公園だった。


「はは……っ、本当バカみたい」


浮かれていた分、

気持ちが盛り上がっていた分


いつも虚しくなる。


分かっているから、

期待はしないって言い聞かせているのに。



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