ねぇ先輩、名前をよんで。




私の瞳に溜まった涙を清水くんは拭う。


「もうやめろ。

アイツの側にいてもお前は幸せになれない」


幸せ。


目と目が合って、

想いが通じ合って、


幸せだって感じる瞬間。


側にいれば、いるほどその気持ちは強くなる。


まるで私と逆だ。


でも、私は幸せになりたくて恋してるわけじゃない。


「し、幸せなんて……っ!」


清水くんを突き飛ばす。

そして大きな声で言った。


「自分の幸せなんて求めてない!」


分かれば、分かるほど

悲しくなった。


先輩と一緒にいた分

辛くなるなんて信じたくなかった。


清水くんは私を見つめる。


まっすぐで真剣な瞳は私からそらされることはない。


「そんなんウソだ。

人は自分の幸せを求めるものだ」


止まりかけていた涙が再びこぼれ落ちそうになる。



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