ねぇ先輩、名前をよんで。
嘘……。
いつも真っ直ぐな言葉を投げかける清水くんには、
私の気持ちなんて分からないと思っていた。
でも違う?
彼にも同じような経験があった?
「辛いよな」
今まで彼が私に言ってくれた言葉は、
自分が経験したことがあるからだった。
そっか。
じゃあ知っていたんだね。
不毛な恋の結末を。
清水くんは自分の過去のことは話してくれなかったものの、
私が泣きやむまで側にいてくれた。
「もう泣きやんだか?」
「うん……」
たくさん泣いたら、少し落ちついてきた。
ゆっくり頷くと彼は言う。
「じゃ、どっか行こうぜ」
「えっ!」
私はビックリして彼を見つめた。
「何?」
「だって私……
先輩といるはずの時間を抜け出して来てるし……」