ねぇ先輩、名前をよんで。
「昨日のゆうちゃん、悲しそうな顔してたね……」
「えっ」
私の顔は見ようとせず、
ずっと斜め横の景色を見る先輩。
「最初はゆうちゃん、楽しそうだった……
でも後半からなんか上の空だった気がする」
私のことを
考えてくれていたことを嬉しく感じる反面。
優さんの代わりが出来なかったことに胸が苦しくなった。
先輩は水族館に私と行きたかったわけじゃない。
本当は優さんと行きたかったんだ。
それなら最後まで
笑顔で一緒にいてあげるべきだったのに。
「すみませんでした私……っ」
私がそこまで言うと
先輩は私の言葉を遮るように言った。
「ゆうちゃん、俺と一緒にいて楽しい?」
「えっ……」
私は固まった。
先輩がそんなこと言ってくるなんて
思いもしなかったから。