ねぇ先輩、名前をよんで。
「せ、先輩が話し相手になってくれるからですよ」
「…………」
私の言葉に先輩は何も返さない。
言えるわけがない。
好きだという私の気持ちなんて。
心にとどめておくって決めたから……。
「ゆうちゃんはいつも俺の側で笑ってくれる。
でも、時折ものすごく寂しそうな顔をする」
「そんなこと、ないです」
声が震えた。
その続きを言わないで。
心がそうやって叫びだす。
でも先輩はゆっくりと、そしてハッキリと言った。
「俺の側にいることでゆうちゃんを傷つけることになるなら……
この関係はもうおしまいにしよう」
さあっと強い風が吹き、
私たちの間を通り抜けていく。
まるでこの関係の終わりを知らせるように。
「先輩……っ」