ねぇ先輩、名前をよんで。



幸せになりたい。

傷つきたくない。


確かにそうやって思うけど……。

やっぱり先輩の側にいたいんだ。


「ここに、いさせて下さい」


必死に頼み込むと、

先輩はポンポンと優しく頭を撫でた。



「ごめんね、ゆうちゃん……」


そうやって先輩は何度も私に謝る。



お互いに駄目だと分かっていても側にいる。



未来の見えない関係でも、


今を確実に生きていけるから

無駄じゃないんだって言い聞かせる。


「弱くてごめんね……。

ひとつ下の子に助けられてるなんて……本当に情けないね」


「ううん」


私の選択は間違ってない。


これでいいんだ。


それから、こぼれた涙を拭うために

ハンカチを取り出そうとカバンの中を見たけれど


中には入っていなかった。




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