ねぇ先輩、名前をよんで。
ふたりで階段に座って
疲れたとかさっきの授業が分からなかったとかそんな話をした。
ただ時間を共有しているだけ。
でもなぜかそれが安心した。
清水くんに先輩のことを知られているからかもしれない。
叶いもしない恋にまっすぐになっている私を
清水くん以外は知らない。
彼は知っているからこそ、
その恋に頑張れとか、きっと叶うよとか
そんな言葉を言って来ない。
だからこそ居心地がいいのかもしれない。
応援されない恋をしていることは
風香ちゃんにも知られたくなかった。
校門を抜けて、しばらく歩くと
私と先輩は駅前のファミレスに入ってご飯を食べた。
ゆっくり話しながらご飯を食べるその時間は
私にとって、とても幸せなものだった。
「すっかり話し込んじゃったね」
外に出る頃には
3時間ほど時間が経っていた。