ねぇ先輩、名前をよんで。
先輩の心の中は
いつだって優さんでいっぱいなのに。
勝手に自惚れて、本当に恥ずかしい。
うつむく私に先輩は追い打ちをかけるように言った。
「さっきの子はどうなの?」
「……さっきって……」
「ほら帰り、バスケットボール渡した子とか」
恐らく清水くんのことを言っているんだろう。
チリチリと胸を焦がすような気持ちが
苦しくて仕方なかった。
「彼は別に……ただクラスが同じだけですよ」
「そうなんだ。
なんとなくだけどいい雰囲気だなあって思ってたんだけど」
私が好きなのは先輩なのに。
他の人といい感じに見えるなんて、
先輩から一番言われたくなった。
見てもらえなくていい。
そう思えば、思うほど、
自分が苦しくて辛くなる。