ねぇ先輩、名前をよんで。







先輩の心の中は

いつだって優さんでいっぱいなのに。


勝手に自惚れて、本当に恥ずかしい。


うつむく私に先輩は追い打ちをかけるように言った。


「さっきの子はどうなの?」

「……さっきって……」

「ほら帰り、バスケットボール渡した子とか」


恐らく清水くんのことを言っているんだろう。


チリチリと胸を焦がすような気持ちが

苦しくて仕方なかった。


「彼は別に……ただクラスが同じだけですよ」


「そうなんだ。

なんとなくだけどいい雰囲気だなあって思ってたんだけど」



私が好きなのは先輩なのに。


他の人といい感じに見えるなんて、

先輩から一番言われたくなった。


見てもらえなくていい。


そう思えば、思うほど、

自分が苦しくて辛くなる。



< 155 / 250 >

この作品をシェア

pagetop