ねぇ先輩、名前をよんで。
真っ直ぐすぎて、
目をそらすことが出来ない。
「ゆっくりでいい。
アイツを忘れるために俺を使えよ」
なんで。
どうして。
清水くんだって知っているハズなのに……。
他の人を見ている姿をすぐ側で見る辛さを。
一番分かってるはずなのに。
「俺を見てくれなんて言わねぇから」
ああ、そうか。
そうやって言わせてしまったんだ。
私を包み込む体が温かくて、
私は胸を預けてしまった。
清水くんは私を抱きしめながら
たくさん名前を呼んでくれた。
誰かの代りじゃなくて、
本当の私の名前を。
先輩に名前を呼ばれた分
傷ついた分。
私は涙をこぼした。