ねぇ先輩、名前をよんで。





それから。

俺はちゃんと授業に出るようになった。


逃げることはせずに目の前のことに向き合うことが、

俺にできる精一杯のつぐないだった。


時々、学校でゆうちゃんとすれ違うこともあった。


だけど、声をかけたりしなかった。


今の俺には

彼女に声をかける資格がなかったからだ。


俺が誰かを頼らずに、

生きれるようになるまで


彼女に謝ることは出来ないだろう。



季節はめぐる。


切なさを心に抱えながら。



俺は小さく名前を呼んだ。



『ーーちゃん』








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