ねぇ先輩、名前をよんで。
それがたとえ、
胸を張ることの出来ない恋でも
私が一生懸命恋をした結果だったから。
無かったことにしたくない。
少しずつ私も前向きになって来たと思う。
先輩ばかり見ていた自分にサヨナラをして
周りを見渡すことが出来るようになった。
それもしっかり気持ちを伝えられたからだ。
『……私、ゆうって名前じゃないんです』
先輩に自分の気持ちを伝えてからは
一度も屋上には行っていない。
言葉に出来たことで少し、
自分の中でケリをつけることが出来たと思う。
もう、先輩とは会わない。
そう心に誓っても時々
廊下ですれ違う時もある。
だけど私は出来るだけ彼を見ないようにした。
先輩を見てしまったら、
自分の固めていた心が揺らいでしまう。