ねぇ先輩、名前をよんで。




あと、大事な人。


ふたりはよく幸せそうに手を繋いで歩いていた。


『春、先輩……

お似合いです……』


私の恋にもならない恋はこの日に散った。


こうして時が経ち、

私は先輩と話す機会もなく、一足先に学校を卒業していった。


ひっそりと思いを隠して、

私は卒業していく先輩のことを見送ったーー。



懐かしいな……。


先輩はあの時の出来事を覚えていない。


あの時の先輩は

すごくよく笑っていたね。


時折、窓から見える先輩は

太陽みたいに明るい笑顔を浮かべていた。


あの時の笑顔をまた見られる日は来るのかな。


ねぇ、先輩。


いつか、心から笑ってね。


私の前で、キラキラ輝く笑顔を見せてほしい。





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