ねぇ先輩、名前をよんで。
話したい時にその場所で話す、
そんな関係になった。
「あ、噂をすれば……清水くん来たよ」
教室のドアに視線をやると、
清水くんとぱちりと目が合った。
彼は自分の机には行かず、
まっすぐこっちに歩いてくると私に向かって言う。
「悠、借りてたCD持って来た」
「ありがとう」
泣きながら屋上を出てきたあの日。
清水くんは教室で私を待っていた。
『なんでいるの?』と泣きじゃくる私に
『泣いてるかと思って』と当たり前のように言った彼に
救われたんだ。
彼は私が泣いている時。
何も言わず、ずっと側にいてくれた。
抱きしめるのでもなく、
何かを言うのでもなく
ただ側にいて、
私が泣き止むまで待ってくれた。
それがとても落ち着いた。