ねぇ先輩、名前をよんで。


話したい時にその場所で話す、

そんな関係になった。



「あ、噂をすれば……清水くん来たよ」


教室のドアに視線をやると、

清水くんとぱちりと目が合った。


彼は自分の机には行かず、

まっすぐこっちに歩いてくると私に向かって言う。


「悠、借りてたCD持って来た」

「ありがとう」


泣きながら屋上を出てきたあの日。


清水くんは教室で私を待っていた。


『なんでいるの?』と泣きじゃくる私に


『泣いてるかと思って』と当たり前のように言った彼に

救われたんだ。


彼は私が泣いている時。

何も言わず、ずっと側にいてくれた。


抱きしめるのでもなく、

何かを言うのでもなく


ただ側にいて、

私が泣き止むまで待ってくれた。


それがとても落ち着いた。



< 191 / 250 >

この作品をシェア

pagetop