ねぇ先輩、名前をよんで。


そして私の涙が止まった時。

最後に一言だけ言ったんだ。


『お前のこと、はるかって呼んでいいか』


って。


それ以来、

私と清水くんの関係は少しだけ変わった。


クラスの人の目を気にして、

私をわざわざ呼び出すこともしなくなったし


私のことを名字ではなく、

堂々と名前で呼ぶようになった。


はるか、と呼ばれるたびにほっとする。



この人は

私の名前をちゃんと呼んでくれるんだと。



清水くんが自分の席に戻っていった後。

風香ちゃんは小さな声で言った。


「告白、OKしないの?」


「うーん、OKしないのって言われてもね……」


清水くんが私に告白して来たのは

あの1度だけだ。



私が先輩から好きな人はいないの?

と聞かれてショックを受けたあの日。


< 192 / 250 >

この作品をシェア

pagetop