ねぇ先輩、名前をよんで。
そして私の涙が止まった時。
最後に一言だけ言ったんだ。
『お前のこと、はるかって呼んでいいか』
って。
それ以来、
私と清水くんの関係は少しだけ変わった。
クラスの人の目を気にして、
私をわざわざ呼び出すこともしなくなったし
私のことを名字ではなく、
堂々と名前で呼ぶようになった。
はるか、と呼ばれるたびにほっとする。
この人は
私の名前をちゃんと呼んでくれるんだと。
清水くんが自分の席に戻っていった後。
風香ちゃんは小さな声で言った。
「告白、OKしないの?」
「うーん、OKしないのって言われてもね……」
清水くんが私に告白して来たのは
あの1度だけだ。
私が先輩から好きな人はいないの?
と聞かれてショックを受けたあの日。