ねぇ先輩、名前をよんで。
彼は先輩を忘れるために、
自分を使えと言って来た。
それでも
けっきょく私は彼の言葉を断った。
あれっきり、
清水くんが私に何かを伝えてくることはない。
「だって最近毎日一緒に帰ってない?」
「まぁ、気づけば一緒に帰ってるかも」
清水くんはぶっきら棒に私の元にやってくると、
帰るぞと言って私を誘う。
特にどこか寄り道するわけでもなく、
ただ話しながら歩くだけ。
別に好きだって伝えてくるわけじゃない。
それが彼なりの優しさなんだって、思ってる。
「ねぇ、
清水くんと橋本さんって付き合ってるのかな?」
「だとしたら本当に残念なんだけど〜」
周りは私たちのことを噂する人もいるけれど、
清水くんは特に気にしてないみたいだった。