ねぇ先輩、名前をよんで。





そして、放課後ーー。


いつものように

清水くんが私の元にやって来た。


「帰ろうぜ」

「うん、そうだね」


清水くんと一緒に校門を出ると、

彼は小さくつぶやいた。


「もうすぐ夏休みだな……」


テストが終わると長い夏休みがやってくる。


部活にも入っていない私は

特に何もすることがなくて、

去年もけっこうつまらない生活を送っていた。


「お前ってさ、夏休み何かすんの?」

「うーん、まぁ……勉強くらいかな」

「成績落とせねぇもんな」


「うん……」

「俺もちっとは勉強するかなー」

「でも清水くんって意外と勉強出来るよね?」


人付き合いもよくて、スポーツも出来て勉強も。

なんでも器用にこなす彼の周りはたくさんの人が集まっている。


「あー……俺なんか頭いいんだよな」


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