ねぇ先輩、名前をよんで。
淡い色の浴衣
ミーンミーンとセミがうるさく鳴く。
照りつける暑さをダイレクトに感じる8月中旬ーー。
ついにお祭りの日がやって来た。
日が落ちて
夕焼けがオレンジに染まっている。
いい天気だ。
「はい、着付け終わり。
行ってらっしゃい」
お祭りに行く約束をした日。
清水くんは浴衣を着て来て欲しいと言った。
少し迷ったけれど、せっかく行くならって
親に新しい浴衣が欲しいと打ち明けた。
そしたら、
母は嬉しそうな顔して
一緒に買いに行こうと言ってくれた。
もともと物欲がない私が初めて欲しいと言ったものだ。
勇気を出して買った淡い水色の浴衣は
自分に似合っているだろうか。
「じゃあ行って来ます」
「はーい、楽しんで来てね」