ねぇ先輩、名前をよんで。





「今後他の人と行く予定は?」

「ねぇけど?」


「じゃあ今までは誘われても断ってたの?」

「うん」


「なんで?」


私の質問に彼は小さく答えた。


「なんで、って……好きなヤツいたから」


ラムネの瓶を

片手で持ちながら遠くを見る。


その横顔にドキッと胸が音を立てる。


「でもほら……

お祭りくらいなら友達と来ても別に……」


「器用じゃねぇから、俺……。

たぶん誰かと一緒に来てても、

こういうのは好きなヤツと来たいって思うんだよ」


「すきな、やつ……」


その瞬間。

ぶわっと顔が赤くなる。


好きな人がいたって言うのは、

前話してくれた先生のことだよね?


私のことじゃない。


でも好きなヤツと来たいって?


今私と一緒に来てるってことは……。


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