ねぇ先輩、名前をよんで。





ちらりと彼を盗み見ると、目があった。


そしてふわ、と笑うと彼は言う。



「花火、楽しみだな」



その笑顔が嬉しそうで

思わず手を伸ばしそうになってしまった。



「さーて、行くか。

お前の食いたいもん、全部食いに行くぞ」



はっと我に返って恥ずかしくなる。


私、何しようとしてるんだろう……っ。


つい、彼に触れようとしてしまった。


清水くんは立ち上がると、私よりも先に歩き出す。



「あっ、ちょっと待ってよ……!」


少し遅れて彼を追いかけるようにして歩き出すと、

目の前の彼がぴたりと止まった。


「どうしたの清水くん?」



私が声をかけると彼は振り返って言う。



「あのさ……」

「ん?」


とても言いにくそうだった。


そして考えるそぶりを見せると。



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