ねぇ先輩、名前をよんで。






「いや、なんでもねぇ」


そう言ってまた歩き出してしまった。


なんだったんだろう……。


何か言いたげな顔だったけど。


隣に並んで彼の表情を見るけれど、


普通だったから私は気にするのをやめた。


何か言いたいことがあるなら、

自分のタイミングで言ってくれるよね?



それから一通り、屋台を楽しむと


花火が上がるまでの間。

少し休憩することになった。


「人がいっぱいだね」

「転ぶなよ?」

「平気だし……おっと」


とは言ったものの、

もうすぐ花火が始まることもあってか


さっきまで空いていたベンチも

人で埋まってしまっている。


屋台の通路を通るのもやっとの状態だった。


人と人の間をすり抜けるように、

上手く歩いていると。



ーードン!




< 206 / 250 >

この作品をシェア

pagetop