ねぇ先輩、名前をよんで。
「いや、なんでもねぇ」
そう言ってまた歩き出してしまった。
なんだったんだろう……。
何か言いたげな顔だったけど。
隣に並んで彼の表情を見るけれど、
普通だったから私は気にするのをやめた。
何か言いたいことがあるなら、
自分のタイミングで言ってくれるよね?
それから一通り、屋台を楽しむと
花火が上がるまでの間。
少し休憩することになった。
「人がいっぱいだね」
「転ぶなよ?」
「平気だし……おっと」
とは言ったものの、
もうすぐ花火が始まることもあってか
さっきまで空いていたベンチも
人で埋まってしまっている。
屋台の通路を通るのもやっとの状態だった。
人と人の間をすり抜けるように、
上手く歩いていると。
ーードン!