ねぇ先輩、名前をよんで。
向かい側から来る人に強くぶつかってしまった。
「あ、すみませ……っ」
そこまで言った瞬間。
私は息を飲んだ。
「……っ!」
目を丸めて彼を見る。
時が止まったかのように私の体は動かなくなった。
だってぶつかった相手は……。
先輩だったから。
「どうした、はるか」
清水くんがやって来て、先輩をみる。
先輩は一瞬、
驚いた表情をすると小さく笑って言った。
「久しぶりだね」
「はい……」
先輩……。
久しぶりに見た彼の姿は
そんなに変わっていなかった。
良かった……元気そう。
隣には誰もいない。
一人で来たのかな?
きっと無視するのも不自然だと思ったんだろう。
先輩は会話を探すように当たり障りのない話をすると、
私を見て言った。