ねぇ先輩、名前をよんで。
清水良太 side;男の嫉妬
【清水良太side】
「なぁ、男の嫉妬ってどう思う?」
8月中旬の夏休みーー。
俺はクラスメイトの相沢和馬に呼び出され、
近くのファミレスにいた。
男の嫉妬、か……。
和馬からの問いに俺は小さく答えた。
「ダセェな」
「そうだよなぁ……」
はあとため息をつく彼を横目に
俺は自らを嘲笑った。
“ダセェな”
どの口が言うんだか……。
『たぶん今日お前は
俺が似合ってるって言ったことより
先輩が言ったその言葉で頭がいっぱいになるんだろうな』
昨日。
俺の口から出た言葉はまさにそれだったんだと思う。
アイツの好きだった先輩と偶然にもぶつかって、
彼ははるかに声をかけた。
そしてはるかの浴衣姿を見てこう言った。
『可愛いね』
と。