ねぇ先輩、名前をよんで。


色々考えてけっきょく辞めた。


繋ぐことの出来なかった手を見つめて思う。


あの時、

繋げていれば、


何か変わったんじゃないだろうか。


あの時。

無理にでも繋いでいれば……。


はるかは

先輩とぶつかることは無かったんじゃないか。


彼女に最初に会った時もそうだ。


彼女が浴衣を着てきたのを見た時、


可愛いなと思った。


でも言うのはこっぱずかしくて、


それを伝えずに

似合ってるという言葉に置き変えた。


あの時俺が言っていた言葉が


”似合ってる”


じゃなくて


”可愛いな”


だったら……。


また何か変わっていたんだろうか。



なんて……。


「女々しすぎだろ……」


そんなことを延々と考えている自分が

ダサすぎて、自らを嘲笑った。







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