ねぇ先輩、名前をよんで。
気まずいまま別れ、
会うことも話すこともないまま
今日までやって来た。
めんどくせぇとか思われてっかもな。
もっとも。
俺が一番めんどくさいと思ってる。
自分のこの感情が。
「ねぇ、良太~夏休み何してたの?
全然連絡くれなかったじゃん~!」
「返す内容でもねぇだろ」
「ヒドイ……!
あんなに何回も遊ぼって送ったのに」
キーキー騒ぐ女を無視していたら、
彼女は少し低い声で言った。
「てかさ、あたし知ってるんだからね」
「何?」
「お祭りの日!
橋本さんと一緒に来てたでしょ?」
バカデカい声でそんなことを言う女のせいで、
まわりに一気に注目を浴びる。
別に俺が注目されることは構わないが、
明らかにはるかの方にも視線が行く。