ねぇ先輩、名前をよんで。






気まずいまま別れ、


会うことも話すこともないまま

今日までやって来た。


めんどくせぇとか思われてっかもな。


もっとも。

俺が一番めんどくさいと思ってる。


自分のこの感情が。


「ねぇ、良太~夏休み何してたの?

全然連絡くれなかったじゃん~!」


「返す内容でもねぇだろ」


「ヒドイ……!

あんなに何回も遊ぼって送ったのに」


キーキー騒ぐ女を無視していたら、

彼女は少し低い声で言った。


「てかさ、あたし知ってるんだからね」


「何?」


「お祭りの日!

橋本さんと一緒に来てたでしょ?」


バカデカい声でそんなことを言う女のせいで、


まわりに一気に注目を浴びる。


別に俺が注目されることは構わないが、


明らかにはるかの方にも視線が行く。




< 218 / 250 >

この作品をシェア

pagetop