ねぇ先輩、名前をよんで。
彼女の声で周りは一気に静かになる。
みんながはるかを見ている中、
俺は彼女ががぎゅうっと握り締めた手を見ていた。
「はる……」
名前を呼ぼうとした時。
彼女は言った。
「……じゃ、ない」
「え、」
「無理やりなんて……
連れて来られてない!
清水くんと……行きたかったから行ったのに、
勝手に私の気持ち決めつけないでよ!」
強い口調で言い放つと、
はるかはこの場所から逃げるように出て行った。
なんで、怒るんだよ。
意味分かんねぇよ。
「何あの子……超怖いんだけど」
「良太もあんな子辞めた方がいいよ。
だいたいこんなの投げてさ……ていうか中身何?」
クラスの女子が持っていたのは、
はるかが投げた紙袋だった。