ねぇ先輩、名前をよんで。
紙袋……。
「貸せよ」
それを奪い取るように取り上げると、
中を開ける。
すると。
そこには
祭りで売っていたストラップが入っていた。
「……チッ」
俺とはるかでブサイクだけど、
愛着の湧くキャラクターだと笑っていたストラップだ。
「ちょっと良太、
それなに……キャ!」
俺は勢いよく立ち上がると、
教室を飛び出した。
周りの声なんて気にもせず、
はるかが行きそうな場所を探す。
何にも見えなくなるくらい
思いっきり走って探すと……。
ーーいた。
非常階段の隅に彼女は座っていた。
「見つけた」
俺が声をかけると、
それに気づいたはるかは
立ち上がって逃げようとする。
「おい、ちょっと待てよ!」