ねぇ先輩、名前をよんで。
本当、情けないほどに。
「……ごめん」
俺が話そうとした時。
先に言葉を発したのははるかの方だった。
「どうしたらいいか、分からなくて……
今すごい自分勝手なことしてるって分かってるんだけど
頭のなかぐちゃぐちゃで……
中途半端なことしてごめん……」
小さくつぶやいてうつむく彼女。
このストラップは、あの後、
一人で戻って買って来てくれたんだろうか。
彼女に顔が合わせず、遠ざけた後
俺のことも少しは考えてくれたんだろうか。
考えてしまう。
でもそのたびに虚しくなってくるのは事実だ。
自分の都合のいい解釈をしているかもしれない。
いっそのこと聞いてしまった方が
ハッキリするんだと思った。
「あのさ」
俺ははるかに尋ねる。
「これ買って来てくれたってことは……
少しは期待してもいいのか?」
誰もいない廊下で俺だけの声が響く。