ねぇ先輩、名前をよんで。
はるかの口元を手のひらでぐっ、と隠す。
まだ、離れる覚悟ができていなかった。
「悪かったな、色々みっともねぇとこ見せて。
でもお祭りの日は
前に怒ってたんじゃないから。
自分の情けなさに顔も見せらんねぇって
思ってただけだから……それだけは分かって」
それだけ言って背中を向けると、
俺ははるかをおいて立ち去った。
恋は人を弱くする。
俺のために買ってくれたストラップを
ぎゅっと握りしめ
痛い思いをしながらも
俺はこの恋を
まだ心に持っている覚悟をした。