ねぇ先輩、名前をよんで。
卒業
あれから半年の月日が経った。
桜が小さな芽を出す中。
先輩の卒業式が始まって、私は先輩と会った日のことを思い出していた。
卒業。
あっという間だったな。
この日が来たのは。
単位が危なげだった先輩も
無事卒業出来るみたいで、
制服を着て参加している姿を見たらほっとした。
お祭りの時以来。
話すことが無かった先輩は今日。
この学校から去ってしまう。
私が全てを始めたこの学校から。
思えば全部。
ここから始まったんだよね。
彼の背中を追いかけて、一目散に向かった屋上。
この場所で何度も先輩の姿を見てきた。
「卒業生、起立」
先輩の背中はいつだって寂しげで、
私は思わず手を伸ばしてしまうことが多かったけど。
「卒業証書授与」