ねぇ先輩、名前をよんで。
でも今は違う。
先輩の背中はもう寂しさをまとっていなかった。
もう心配しなくても大丈夫なんだね。
「立花春」
「はい」
ピシッと伸びた背筋が堂々としていて、
私は思わず笑顔が溢れた。
先輩を見て、
ぎゅっと胸がしめつけられる気持ちになったり、
ドキドキして心臓が早く動き出したり。
色んな気持ちになった。
悲しいことも、苦しいことも、
嬉しいことも全部。
私にとって大切な思い出だ。
先輩……。
いつだって先輩を見送る時は
何も言わず背中にそっと伝えた。
"ありがとう"と。
届かなくたっていい。
こうして送り出すことが出来るならーー。
こうして全員の卒業証書授与が終わると、
最後には、
この学校にいた時田優さんの追悼をした。