ねぇ先輩、名前をよんで。



満開になる頃には

春を好きだと思えるかな。


私たちは卒業生を見送り、

そのまま教室に戻ることになった。


全員が揃い、

短いHRを受けてすぐに解散になる。


そして、

先生は最後に言葉を残した。


先輩達を見送りたい人は校門で待つように、

とのことだ。


「見送るか?」


清水くんが私のところに来てそんなことを聞いて来る。


最後。


彼の明るい表情を見れたから、

自分としては十分な気もする。


でも……。

これが本当に最後になるんだ。


この先もう、

先輩に会うことはないだろう。


返事が出来ない私を見かねた清水くんは

はあとため息をつきながら言った。


「迷ってるなら見送れば?」


清水くんに言われて、私は考えた。


最後だもんね。

先輩を見送って、心に残った先輩にさよならしよう。


「うん、そうする」


私は頷いた。






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